④ 国会議員と地方議員

 


④ 国会議員と地方議員

第③回では、政治を「何を交換しているのか」というところから眺めてみました。
 票、公認、資金、予算、情報、人脈、選挙協力……。
 そうやって眺めていると、今度は別のことが気になってきます。

「で、それって、誰と誰の間を動いているんだ?」
政治家と国民。

 これは、すぐに思いつきます。
 政治家と企業。
 政治家と団体。
 これもありそうです。

 でも、もう一つ、かなり身近なところに相手がいます。
政治家と政治家です。

 ここから、少し妙なところを覗いてみます。
 たとえば、国会議員と地方議員。
 同じ「政治家」ですが、考えてみれば、持っているものが同じではありません。

 国会議員には、国会議員としての立場があります。
 国政に関わる情報や、人脈があります。

 一方、地方議員には、その地域で暮らす人たちとの、もっと直接的なつながりがあります。 誰が何に困っているのか。
 どこの地域で何が起きているのか。
 誰が誰とつながっているのか。
 選挙になれば、誰が動くのか。

 こういうものは、国会議員が東京にいるだけでは、なかなか見えてきません。
 すると、 「国会議員のほうが偉い」
 「地方議員は国会議員の下」 という単純な話ではなさそうです。

 むしろ、 「お互いに、自分だけでは持っていないものを持っている」
 と考えたほうが、実際の関係に近いのかもしれません。

 ここで、③の話に戻ってみます。
 政治は、何を交換しているのか。

 そう考えると、少し見え方が変わってきます。

 国会議員が地域に必要とされる理由と、
地方議員が国会議員に必要とされる理由。
 そこには、それぞれの立場から見た「欲しいもの」がある。

 ……なんだか、ずいぶん人間臭い話になってきました。
 そして、ここで一つ、気になる言葉があります。

「公認」
です。

 政党の公認がなければ、選挙に出られないわけではありません。
 無所属で立候補することもできます。
 それでも、政党から公認されることには、
選挙を戦ううえで無視できない意味があります。
 政党の名前。
 政党としての信用。
 組織的な支援。
 選挙におけるさまざまな力。

 そう考えると、公認というのは、単なる「推薦」という言葉だけでは収まりません。

「政治家になる入口の一つを、誰が握っているのか」

 という問題が、ここから見えてきます。

 そして、もう一度、地方議員の側を見る。
 地方議員には、地方議員なりのものがある。
 地域とのつながり。
 人間関係。
 選挙で動ける人たち。
 地域の情報。
 日頃から顔を合わせている住民との関係。

 これも、数字にはなりにくいけれど、
政治の現場では無視できないものです。

 すると、ちょっと面白い。
国会議員が地方議員を必要とする場面もあれば、
地方議員が国会議員を必要とする場面もある。


 どちらか一方が、ただ支配しているだけではない。
 それぞれが、自分の立場から「欲しいもの」を持っている。

 そして、その「欲しいもの」が重なったところに、
政治家同士の関係が生まれる。
 もちろん、すべての政治家がそういう関係で動いている、
と言いたいわけではありません。

 ここは、まだ観測途中です。

 ただ、人間というものを考えてみると、
 「政治家だから、国家のために合理的に動く」 と最初から考える必要もない。
 人間ですから、
認められたい。
勝ちたい。
負けたくない。
自分の立場を守りたい。
次の選挙で勝ちたい。
仲間を増やしたい。
自分の考えを通したい。 
そんな欲求を持っていても、不思議ではありません。

 むしろ、そういう一人ひとりの人間の振る舞いが積み重なった結果として、
「政治の構造」が出来上がっているのだとしたら……。

 これは、かなり違った見方になります。

 最初から、 「裏で誰かが全部を動かしている」 と考えなくてもいい。
 一人ひとりが、自分の欲求や立場に従って動く。
 その結果、
 「あの人とは、このときに協力する」
 「この人には、この情報が必要だ」
 「この地域には、この議員が強い」
 「この政党の公認を得たい」
 「この人には選挙で動いてもらいたい」
 という関係が積み重なっていく。

 それが、いつの間にか、誰か一人の意思では説明できないような
「構造」になっている。

構造は、最初から誰かが設計したものとは限らない。

 ここは、これからの観測で確かめてみたいところです。
 
そして、もう一つ気になってきます。
 ここまで私たちは、「国会議員と地方議員」という人を見てきました。

 人が欲しがるもの。 人が守りたいもの。 人がつながろうとする相手。
 そういうものが重なって、政治家同士の関係ができていく。 でも……。

人間関係だけで、政治は動いているんだろうか?


 実際には、そこに「場所」があります。
 住民が要望を持ってくる。
 議員が話を聞く。
 会派の中で話す。
 議会で議論する。
 首長や行政と向き合う。

 そして、その先には予算がある。
 そう考えると、次に気になってくるのは、

「地方議員は、いったいどこで政治をしているんだ?」
ということです。

 国会議員と地方議員という「人」を追っていたら、
 今度は、その人たちが動いている「場所」が見えてきました。

次回は、その場所を、少し覗いてみることにしましょう。
つづく。

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