政治という一つのピースを開いてみる ― 2009年の政権交代から
2009年の政権交代を、一つの「ピース」として観測してみる
今回、ある動画を観ていて、少し面白い観測対象が現れた。動画の語り手は、2009年の政権交代から、
その後の政治家や政党の動きを一本の線として結びつけて語っている。
その語りには、かなり強い解釈が含まれている。
そこで今回は、その解釈をそのまま受け取るのではなく、
まず「何が起きたのか」を一つのピースとして取り出してみることにした。
観測したいのは、
「誰が正しかったのか」
でも、
「誰が裏で動かしていたのか」
でもない。
まず、
誰が、どこで、何をして、その結果、誰の政治的な力が変化したのか。
ここを見てみる。
最初に見えたアクター(登場者)
今回のピースに登場するアクターを並べてみる。麻生太郎。
小沢一郎。
鳩山由紀夫。
民主党。
東京地検特捜部。
そして、西松建設などの企業側。
動画では、これらの登場人物を結びながら、
2009年の政権交代を一つの大きな物語として描いている。
特に重要なのが、小沢一郎氏をめぐる動きだ。
点を並べてみる
2009年当時、小沢一郎氏は民主党代表だった。3月3日、東京地検特捜部は、
小沢氏の公設第一秘書を政治資金規正法違反容疑で逮捕した。
その後、5月11日、小沢氏は民主党代表を辞任。
そして民主党の代表選挙で鳩山由紀夫氏が選出された。
同年8月の衆議院選挙では民主党が勝利し、
9月16日、鳩山由紀夫氏が内閣総理大臣に指名された。
ここまでは、まず政治史上の出来事として確認できる。
つまり、単純に点を並べると、
小沢一郎という流れになる。
↓
秘書逮捕
↓
民主党代表辞任
↓
鳩山由紀夫が民主党代表に
↓
民主党が衆議院選挙で勝利
↓
鳩山政権
ここで「権限」を入れてみる
ここからが、今回の観測で少し面白くなったところだ。人物の名前だけを追っていると、
「小沢から鳩山に変わった」
という話で終わってしまう。
しかし、そこに「行為可能権限」という観測軸を入れてみる。
小沢氏には、民主党代表として選挙を戦い、
政権交代を目指す政治的な権限・影響力があった。
ところが、秘書逮捕を経て、代表を辞任する。
その結果、
民主党を率いて政権交代を担う立場が、小沢氏から鳩山氏へ移った。
これは、誰かが裏で命令したかどうかとは別の話だ。
少なくとも、政治的な「行為可能権限」の配置が変化したことは観測できる。
すると「誰が得をしたか」だけでは足りない
ここで、観測の仕方が少し変わってくる。普通なら、
「この事件で誰が得をしたのか?」
と考える。
しかし、それだけでは構造が見えないかもしれない。
むしろ、
誰の行為可能権限が減り、誰の行為可能権限が増えたのか。
さらに、
その変化を起こしたイベントは何だったのか。
を見る。
今回なら、
小沢氏の政治的権限が変化した。
鳩山氏の政治的権限が増えた。
そして民主党そのものは、その後に政権を獲得した。
つまり、
「政権交代」という大きな出来事の内部に、複数の権限移動が存在している。
ということになる。
ここで、動画の「物語」と分けてみる
今回観た動画では、この一連の出来事について、さらに踏み込んだ説明がされている。小沢氏が政権交代の主役になる直前に特捜部が動いたこと。
その後、鳩山氏が民主党代表となったこと。
そして、その政権交代そのものが、あらかじめ仕組まれていたのではないかという解釈だ。
しかし、ここはまだ別の層として扱った方がよさそうだ。
出来事そのもの。
出来事を結びつけた動画の解釈。
そこから導かれる仮説。
この三つは、いったん分けておく。
「ピース」として見る
今回、最初にやってみたのは、政治全体を説明することではない。2009年の政権交代という一つの「ピース」を取り出して、
誰がいたのか。
何が起きたのか。
どの順番で起きたのか。
その結果、誰の政治的な行為可能権限が変化したのか。
そこだけを見てみた。
すると、政治というピースの中にも、
政治家だけではなく、政党、検察組織、企業など、異なる種類のアクターが存在している。
ということが見えてくる。
そして、もう一つ見えてきたこと
ここまで来ると、以前考えていた「ピース」と「アクター」を分ける意味が少し分かってきた。「政治」というのはピース。
その中で動く、
政治家。
政党。
行政組織。
司法・検察組織。
企業。
メディア。
などがアクターになる。
そしてアクターは、一つのピースだけに存在しているとは限らない。
ここが重要なのかもしれない。
政治家が動く。
その動きが検察という別の組織に接触する。
企業の資金が政治に入る。
メディアが出来事を報道する。
そして、その出来事が国民の認識に影響する。
こうして考えると、
「点だったイベント」が、別のピースへ移動しながら「線」になっていく。
そんな構造が見え始める。
まだ、線を描かない
ただし、ここではまだ線を完成させない。2009年の政権交代について、
「誰かが全体を設計した」
と結論づける材料は、今回の観測だけでは足りない。
一方で、
複数のアクターが存在し、複数のイベントが時系列で発生し、その結果として政治的な権限配置が変化した。
ここまでは観測できる。
ならば、次に見るべきなのは、その先だ。
鳩山政権は何をしようとしたのか。
普天間基地問題では、何が起きたのか。
そこには政治というピースだけではなく、日米関係という別のピースが入ってくる。
そこで初めて、
一つのピースの中で起きた出来事が、別のピースへどう接続していくのか。
を観測できるかもしれない。
今回の観測地点
今回、確認できたのはここまで。「2009年の政権交代」という一つのピースを開いてみた。
そこには、
ピース=政治
アクター=政治家・政党・検察組織・企業など
イベント=逮捕・辞任・代表選・総選挙・首班指名
シーケンス=それらが発生した順番
行為可能権限=その過程で変化した政治的な力
という構造があった。
そして、この構造を別のピースにも同じように当てはめてみる。
そのとき初めて、
点が線になるのか。
あるいは、
単なる点の集合だったのか。
それが見えてくるのではないだろうか。
今回は、ここで一旦置いておく。
つづく。

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